この街大スキ武蔵小杉

コスギーズ

武蔵小杉で活躍する人を紹介します!

2026.10.19

Parklet Café(パークレットカフェ) 相澤郁美さん

コスギーズ!とは…
 利便性や新しさだけでなく、豊かな自然、古きよき文化・街並みもある武蔵小杉は「変わりゆく楽しさと、変わらない温かさ」が共存する素晴らしい街です。そんな武蔵小杉の街の魅力をお届けするべく、この企画では街づくりに携わり、活躍している人をご紹介していきます!

 

Parklet Café(パークレットカフェ) 相澤郁美さん

 

武蔵新城駅から少し歩くと、子どもたちの賑やかな声が響く公園のすぐ隣に、街に溶け込むような温かなカフェが見えてきます。それが、今回伺った「Parklet Café(パークレットカフェ)」です。

 

扉を開けると、そこには0歳から2歳くらいの小さな赤ちゃんを連れたお母さんたちが、ゆったりとくつろぎながら穏やかな時間を過ごしていました。

 

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このカフェのオーナーである相澤郁美さんは、学生時代から約20年間にわたり子育て支援に携わってきた経験を活かし、この場所をオープンさせました。ここは子育てに悩むママたちの居場所であり、新しく何かを始めようとする人が実践を積むための“成長のプラットフォーム”でもあるのです。

「もともと武蔵新城にはまったく縁がなかった」と話す相澤さんは、なぜこの街でお店を始めることになったのか。そして、地元の方たちとの触れあいを通じて自身に訪れた変化や、新たなビジョンについてじっくりと伺いました。

 

たまたま見つけた場所で、下町のような温かさと出会う

 

相澤さんが川崎市に引っ越してきたのは、約8年前のこと。ご家族の都合で市内に居を構えましたが、武蔵新城という街との出会いは偶然の出来事だったと話します。

 

「お店をやろうと思った時、本当は以前から子育て支援の活動拠点にしていた川崎区内で探していたのですが、なかなか良い場所が見つからなくて。そんな時、たまたま見つけたのがこの場所でした。物件を見た時、すぐ隣が公園で、子どもたちが日々賑やかに遊んでいる環境を目にして『ここは“パーク(公園にある)カフェ”だな』って直感的に思ったんですよね。」

 

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そうして出会った武蔵新城ですが、街の第一印象は「子育てがしやすい街」というポジティブなものでした。少し足を伸ばせば武蔵小杉東急スクエアをはじめとした商業施設で買い物ができるだけでなく、地元の方たちとのコミュニケーションを通じて「地域のつながりが厚い」と感じたそうです。

 

「カフェのオープン工事をしている時から、毎日のように近隣の方が『ここにはどんなお店ができるんですか?』と話しかけてくれたんです。ここは地域の方が気軽に接しやすい街なんだなと、そんな印象を最初に持ちましたね。」

 

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お店をオープンしてわずか半年ですが、街とのつながりは驚くべきスピードで強固なものになっていると話す相澤さん。武蔵新城には自らが街を盛り上げようとする人がたくさん存在しており、自身も様々なご縁に恵まれたと笑顔で語ります。

 

「武蔵新城は、ちょっと下町っぽいといいますか、人の温かさがすごくあるんです。この前も武蔵新城の飲食店を盛り上げる『武蔵新城1000Bero』というイベントにお客として参加してみたのですが、とあるお店に並んでいたお客さんが『ここは隣のお店の邪魔になるから、こっちに並びましょう』と、お客さん同士で声を掛け合って並び直している光景を目にして。『飲食店や街を自らの手で良くしよう』と思っている方が当たり前のようにいる環境に、すごく感動しました。」

 

“成長サイクル”が自然と生まれる場所を作りたかった

 

Parklet Caféには日々多くのお客さんが訪れますが、その中心は0歳から2歳くらいの未就学児を育てるお母さんたち。そんな彼女たちにとって、カフェで過ごす時間は日々の孤独や不安を和らげるかけがえのないものになっています。

 

「働いているお母さんに来ていただくことが多いのですが、普段はゆっくりできる時間がなかったり、一人で家にいても不安で休めないという方が本当に多いんです。だから、ここに来ていただいた時はしっかりと休んでほしくて。赤ちゃんをマットの上に置いて遊ばせたり、お店のバウンサーに寝かせたりして自由に過ごしていただいています。」

 

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相澤さんが目指しているのは、単に美味しいコーヒーを提供するだけの空間ではありません。自身も小さな子どもを育てるママであり、孤独に育児と向き合う不安な気持ちを深く理解しているからこそ、できることがあります。

 

「ふらっとコーヒーだけを楽しんで帰る場所ではなくて、地域のコミュニティの場所であり、子育てのプラットフォームとして浸透していきたいんです。だからこそ、今悩んでいることはないか、求めているものはないかと一人ひとりに声を掛けながら、子育てに関することを何でも相談できる環境にしています。」

 

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今でこそ、武蔵新城になくてはならない温かな居場所として愛されているParklet Caféですが、実は相澤さんは最初から「カフェをやりたい」と思っていたわけではありませんでした。

 

「本当は、企業主導型保育園の制度を活用して、保育園とカフェが一緒になったような居場所をつくるのが理想だったんです。でも、時代とともに保育園が増えて空きが出始めている状況を見て、まずは川崎区で親子イベントや子育て支援者の育成スクール(『みらくRuスクール』)を始めました。

 

ただ、スクールをやっていく中で、卒業生たちが活躍できる『場所』がないという課題に直面して。だからこそ“横のつながり”を作れて、なおかつ学んだことを実践できる場所を最初に作りたかったんです。」

 

保護者の孤独や虐待防止、産後うつといった課題を解決したいという根底の思いと同時に、それを“支える側”の人たちのサポートも必要だと相澤さんは語ります。

 

「実践を積み重ねたら、今度はその人が子育て支援を“教える側”へと回っていく。そんな成長サイクルが自然と生まれる場所を作りたかったんですよね。だからこそ、支援されるママたちを救うだけでなく、支援する側の人たちも安心して一歩を踏み出せるような『誰もが挑戦できる場所』が、どうしても必要だと思ったんです。」

 

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支援者が活躍できる場所として、Parklet Caféでは現在「3ヶ月チャレンジ制度」という仕組みを取り入れています。これは、新しく教室などを始めようとする人が挫折しやすい集客などの“壁”を一緒に乗り越えるための伴走型支援です。

 

「新しく何かを始める方が一番つまずきやすいのが、集客なんです。イベントなどを1回、2回とやってみて、人が来ないと心が折れてやめてしまう方が多くて。でも、まずはやってみないとわからないし、改善できるところは必ずあります。だから、3ヶ月間は面談をしたり、相談に乗りながら伴走するようにしています。」

 

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挑戦へのハードルを極力下げ、『まずはやってみて』と優しく背中を押す。その根底には、相澤さん自身がこのParklet Caféで得た実体験と、それに伴うマインドの大きな変化がありました。

 

「カフェという自分自身の拠点ができたことで、本当に色々なことに挑戦できるようになりましたし、仕事の幅も広がりました。自分自身も成長させてもらっているという意味では、勝手な発言になってしまうのですが、“交換”のような関係があると思っていて。それが私の生きがいになっていますし、『みんなで一緒にやってるぞ!』という気持ちが湧いてくる

んです。もともと私は保育士というのもあって、子どもたちの成長や人の成長を感じることが喜びになるタイプなのだと思います。」

 

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街の縁で結成されたチームで挑む、次なるチャレンジ

 

カフェの運営を通して、多くの子どもたちやその親御さん、そして地域の方々と触れ合ってきた相澤さん。最後にこれからの展望について伺うと、さらにワクワクするような未来の構想を語ってくれました。

 

「実は今年の7月、教育事業を立ち上げたばかりなんです。チェンジメーカーアカデミーが提供する『TOKUINOVA(トクイノーバ)』という探究プログラムで、まずは体験会や3日間の講座からスタートしました。これは、文部科学省が推奨する「探究」と「協働」を通じたアントレプレナーシップ教育をベースにしたプログラム。子どもたちが自ら問いを立て、仲間と協力しながら課題に取り組むことで、主体性や課題解決力を育むことを目指しています。

 

最近は自己肯定感の低いお子さんや保護者さんがとても多いと感じています。だからこそ、自分の『好き』や『得意』を自覚して生かすことが大切なんです。それが社会への貢献や、人の役に立つ喜びに繋がり、ひいては生きる活力になっていくと思うんですよね。」

 

このビジョンを実現するために、相澤さんの周りには頼りになる協力者たちが集結しました。プログラムの設計からクリエイティブ、マーケティング、AIなどまったく異なる分野で活躍する街のキーマンたちと、5人でチームを組んだのです。

 

「今までの活動に関わってくださった方や、このカフェを立ち上げるために武蔵新城に来た時に地域の方から『武蔵新城でビジネスをするなら、この人と会ったほうがいいよ』と紹介していただいた方々なんです。それぞれ別々の領域で活躍する方たちですが、根底にあるビジョンが共通しているので、一緒にスタートを切ることができました。」

 

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子ども向けのプログラムにとどまらず、今後は中高生や企業向けの支援者育成スクールへと規模を拡大していきたいと話す相澤さん。たまたま辿り着いた武蔵新城という街で、温かい街の人々とのご縁を紡ぎながら、次々と新しい挑戦を形にしていきます。

 

「『まずはやってみないとわからない』 私自身、そうやって一歩を踏み出してきました。だからこそこの場所で、“孤育て(孤立した状態で育児を抱え込んでしまう状態)”に悩むママたちや、何かに挑戦しようとしている人たちの背中を優しく、そして力強く押し続けていきたいんです。」

 

誰もがふらっと立ち寄れる、小さな公園のベンチのような場所。相澤さんがこの街で生み出した成長のサイクルは、武蔵新城を飛び出し、これからも全国へ向けて力強く回り続けていくでしょう。

 

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取材・文/柴田捺美 撮影/矢部ひとみ

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