宮﨑会計・税理士事務所 宮﨑雅大さん
コスギーズ!とは…
利便性や新しさだけでなく、豊かな自然、古きよき文化・街並みもある武蔵小杉は「変わりゆく楽しさと、変わらない温かさ」が共存する素晴らしい街です。そんな武蔵小杉の街の魅力をお届けするべく、この企画では街づくりに携わり、活躍している人をご紹介していきます!
宮﨑会計・税理士事務所 宮﨑雅大さん

武蔵小杉駅から二ヶ領用水沿いに歩くこと約15分。活気ある商店街の喧騒から少し離れた、落ち着いた住宅街の中に「宮﨑会計・税理士事務所(宮﨑雅大税理士事務所)」はあります。
「こんにちは!よろしくお願いします。」と快活な挨拶で迎えてくれたのは、代表の宮﨑雅大さん。
宮﨑さんは自身の事務所での業務に留まらず、フリーランス支援のウェビナーや採用関連のイベント、
さらには地域イベントへの協賛など、税理士という枠を超えた活動を精力的に行っています。
今回は、宮﨑さんがなぜこの街を活動拠点として選び、どのように街と関わってきたのか。その歩みをじっくりと伺いました。
趣味のボルダリングをきっかけに、この街へ
今では地域の経営者やフリーランスから厚い信頼を寄せられる宮﨑さんですが、卒業後に選んだ道は会計の世界ではありませんでした。
「新卒で入社したのは、現在とは異なる業界でした。でも、結果から言うと、そこでの仕事は健康上の理由で辞めざるを得なくなったんです。」
求職中に何か勉強をしたいと考えた時に、宮﨑さんがふと思い出したのは、大学時代に学んでいた簿記の世界でした。宮﨑さんは工学部を卒業しており、大学では将来の経営者や管理者を育てるための学問を学んでいたとのこと。
「大学の授業で工業簿記に触れたとき、単純に面白いなと思ったんです。それで、せっかく勉強し直すなら簿記かなと。そこから簿記三級を受け、気づけば税理士試験……と、一度入ったら抜け出せない“沼”にどっぷりとハマっていきました。」
無事に資格を取得し、2016年に独立。当時の事務所も武蔵小杉駅周辺にありましたが、現在の事務所所在地とは少しだけ離れた場所にあったとのこと。

独立以降、宮﨑さんは税理士としての業務だけに限定せず、フリーランス支援のためのウェビナーやイベントへの登壇など、積極的に外の世界へ飛び出していきます。
「クラウド会計やチャットツール、テレビ電話などが世に出始めた頃、東京で開催されていたワークショップへ一人で足を運びました。そこでたまたま声をかけてもらったことがきっかけで、少しずつウェビナーに登壇する機会を頂くようになった気がします。
自分の性格として、『まずは現場に行ってみる・話を聞いてみる』というのがあります。特別な原動力があるわけではなく、飛び込んだ先でいただいた縁を、一つひとつ大切にしてきた結果、今の活動に繋がっていると感じます。」
東京都町田市出身の宮﨑さんが、武蔵小杉・中原エリアを活動拠点として選んだ理由。それは少しユニークなものでした。
「実は、趣味の『ボルダリング』がきっかけでこの街に住み始めたんです。当時、近辺のボルダリングジムによく通っていて。物件を探すとき、そのジムを中心にして、自転車や徒歩で通える範囲でまずは探していました。自由が丘に勤めていたので、東急東横線か田園都市線沿いが良かったのもあります。」
その範囲の中に入っていたのが、元住吉駅や武蔵小杉駅周辺だったそう。
「ふらっと歩いてみたとき、元住吉の商店街の活気や、静かな住宅街のバランスを見て『ここなら住みやすそうだな』と直感的に思いました。
開業当初は、自宅のわずか二畳ほどのスペースに机を置いて、小さくスタートしたんです。まさか10年以上経って、これほど深くこの街に関わるようになるとは思ってもいませんでした。」

ボランティアから資金面へ。変わる地域への貢献
宮﨑さんの地域活動は、サラリーマン時代に元住吉の「ブレーメン通り商店街」青年部のボランティア募集がされているのをたまたま見つけ、応募したことから始まりました。
「イベントの参加を通じて、川崎市内のさまざまな地域の雰囲気を肌で感じることができた。」と話す宮﨑さん。印象的だったイベントの一つに、2017年に開催された「夢見る星空キャンプ(夢見ヶ崎スワキャンプ)」を挙げました。
「幸区の夢見ヶ崎動物公園で、動物たちの鳴き声を聞きながら一晩を過ごすという、本当に画期的なイベントでした。私はボランティアとして運営側のお手伝いをしたのですが、今でも印象的に覚えています。」
以降、地域のプロジェクトに携わるようになった宮﨑さん。しかし、活動を続ける中で、とある変化が訪れます。
「最初の頃は、イベントの設営や当日の運営スタッフとして、いわゆるマンパワーで貢献することが中心でした。独立したての頃は、仕事もそれほど多くなかったので、時間だけはたっぷりありましたからね(汗)でも、事業が少しずつ成長していくにつれて、会場設営やさまざまな作業をする、イベントスタッフとして参加することが難しくなってきました。」
そんな時、ある方からかけられた言葉が、宮﨑さんの背中を押しました。
「『マンパワーだけではなくて、事業者として協賛することも地域のためになる。事業がある程度発展したら、スポンサーや協賛というかたちで協力しても喜ばれるかもね!』と言われて。そして、それが自分にできる最適な応援のかたちなんだと気づいたんです。」

そこから宮﨑さんは、川崎市で行われるイベントへの協賛だけでなく、「かわファン(川崎専用クラウドファンディング)」での支援など、自身の役割を少しずつシフトさせていきました。
「最近では、新城小学校の先生が『コロナで中止になってしまったハンドボール大会を復活させたい』と仰っているのを聞いて、協賛させていただきました。こうした活動を通じて、おのずと知り合いが増えていったのかもしれません。」
この街は、「自己表現」として働く人々が多い
宮﨑さんはこの街について、ビジネスの場所としての側面だけでなく、一人の住民としても魅力的だと話します。
「住民としては、本当に非の打ち所がない街だと思います。武蔵小杉駅付近にも家電量販店ができたことで、生活に必要なものがすべて揃いました。東京へも横浜へも、さらには千葉方面へも一本でアクセスできる。
これほど利便性が高く、かつ地元のコミュニティが活きている街は他にないと思います。
ビジネスの面でも、武蔵小杉や元住吉周辺にはコワーキングスペースが充実していて、リモートワーカーや独立したばかりの事業主にとって、非常に活動しやすい環境が整っていますよね。」

そうした環境の中で、宮﨑さんはこの街で働く人々にある共通点を見出しています。
「このエリアでお仕事をされている方は、自身の『自己表現』としてビジネスをされている方も非常に多い印象です。手芸のワークショップを開いたり、独自のサービスを立ち上げたり。でも、そういった小規模なスタートを切った方々にとって、いきなり顧問契約をするのは、あまり現実的ではありません。」
そんな表現者たちの力になりたいという想いから、別の切り口での相談窓口を設けるべく、フリーランス支援のためのオンラインイベントも開催するなど活動を広げていったそうです。
「(一般社団法人)フリーランス協会さんが主催の『みんちょぼ ~みんなで帳簿をつける会~』や、私が主催しているオンライン相談会『ゆるちょぼ(ゆるく帳簿を付ける会)』など、相談のハードルを極限まで下げた活動を大切にしています。
正しい申告をしたいけれど、やり方が分からない。freeeやマネーフォワード会計といったクラウド会計の使い方が分からない。そんな不安を抱えている人たちが、必要なときに相談できる窓口でありたいと思っています。」

メンバーの個を尊重する場所でありたい
二畳のスペースから始まった事務所も、現在は宮﨑さんを含めて12名(2026年1月現在)のチームになりました。現在の規模感でのチームが整ってきたのはここ3年ほどとのことですが、メンバーの多くはこのエリアの住民であり、近所の方が自転車、電車で移動してそれほど時間がかからない場所でお仕事できる環境を大切にしているそうです。
「私自身は外にどんどん飛び出していくタイプですが、事務所をしっかりと守ってくれるメンバーには本当に感謝しています。時には『活動を広げすぎないで、ちゃんと休んでください!』『健康診断に行ってください!』と注意されることもありますが(笑)
みんな私よりもしっかりしていて、本当に頼もしい存在です。」
※インスタ投稿を埋め込み(またはスクリーンショットの掲載)させていただきます
https://www.instagram.com/p/DEEvJeAPBvq/?hl=ja
チームの運営において、宮﨑さんが大切にしているルールがあるそう。それは、何事も強制しないことです。
「地域のイベントに参加したいメンバーもいれば、そうでないメンバーもいます。そこを強制することは絶対にしません。それぞれキャラクターが異なるので、ここではメンバーがそれぞれのペースで、自分が心地よいと思う距離感で地域やお客さんと関わってほしいと思っています。
事務所の経営理念である、「『今』と『ちょっと先』と『未来・将来』を見据えて、お客様もスタッフ同士も安心を提供できる事務所を目指す』」ということを、それぞれのメンバーのペースで体現しながら、活動し続けられると嬉しいです。」
かつては睡眠を削ってまで働いていたという宮﨑さん。現在はメンバーの心配を素直に受け入れ、持続可能なチーム作りを目指しています。
「最近では、メンバー間で豪華な食事会をやるよりも、近くのお店で美味しいおやつを買ってきて、リラックスして食べる方が喜ばれることに気づきました(笑)
そういった小さなことも含めて、トップダウン型からボトムアップ型の経営にできたら嬉しいなと思います。」

税理士という立場からこの街の多様な自己表現を支え続けるだけでなく、ともに働くチームの一人ひとりの個性も大切にしている宮﨑さん。
お話を伺う中で、宮﨑さんがこの街で培ってきた信頼と、共に働く仲間への深い敬意を感じました。
そしてそれは、これからも武蔵小杉の街をより温かく照らしていくことでしょう。

取材・文/柴田捺美
撮影/矢部ひとみ