この街大スキ武蔵小杉

コスギーズ

武蔵小杉で活躍する人を紹介します!

2025.09.05

KOSUGI CURRY 奥村佑子さん

コスギーズ!とは…
利便性や新しさだけでなく、豊かな自然、古きよき文化・街並みもある武蔵小杉は「変わりゆく楽しさと、変わらない温かさ」が共存する素晴らしい街です。そんな武蔵小杉の街の魅力をお届けするべく、この企画では街づくりに携わり、活躍している人をご紹介していきます!

 

KOSUGI CURRY 奥村佑子さん

 

カレーで広がる、街と人の輪。KOSUGI CURRY 奥村佑子さん

 

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武蔵小杉駅から新丸子駅方面へ向かって歩くこと約5分、大きなガラス扉に茶色の看板が特徴の、一軒のお店が見えてきます。それが、今回お話を伺った「KOSUGI CURRY」

扉を開けると、食欲をそそるスパイスの香りがふわっと広がる店内。壁を見ると、川崎市内で行われるイベントのチラシや、お客さんから貰ったであろうイラスト、そして著名人のサイン色紙などがたくさん飾られています。

 

「お待ちしてました!」と優しい笑顔で迎えてくださったのは、店主の奥村佑子さん。2011年にこのお店を始めてから約14年、カレーマニアを唸らせる美味しいカレーを提供しているのはもちろんのこと、それを通じてエンタメを届けている、唯一無二の存在です。

 

#学生時代の夢は「映画監督」

 

なぜ、カレーとエンタメなのか?

今回の取材では奥村さんのキャリアについても教えてほしいとお伝えしていたところ、奥村さんはお話を始めるとすぐに「私の過去についても聞いてくださると伺って……」と、年季の入ったカメラの専門雑誌を見せてくれました。

 

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そこにあったのは、奥村さんのお名前と「ジュニア部門 大賞」という文字。聞くと、奥村さんが学生時代に応募した写真コンテストだそう!

 

「中学2年生の頃からずっと、将来の夢は“映画監督”でした。大学では演劇映像コースにいて、映画サークルで学生映画を撮っていたんです。学生映画祭に参加して、一番憧れていた大林宣彦監督に作品を見ていただいたこともあります。」

そう言って奥村さんが見せてくれたのは、映画祭で審査員を務めていた大林監督からの直筆のフィードバックが書かれた紙。憧れの人に作品を見てもらい、感激したと嬉しそうに話します。

 

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映画の現場で働くことを夢見ていたため、就職活動はしていなかったという奥村さん。ですが、親御さんの勧めもあり、テレビ局の関連会社へ新卒入社。そこで7年間、テレビドラマのDVDやBlu-rayのパッケージプロデューサーを務めました。

 

#フード×エンタメで、何かを生み出したい

 

「デザインを考えたり、特典映像を撮りに現場へ行ったりと、仕事は本当に楽しかったんです。でも、誰かが作ったものをパッケージにする仕事だったので、いつか自分でも何かを作りたいという思いがずっとありました。

 

それに、パッケージプロデューサーという仕事って、直接お客さんと関わることってあまりないじゃないですか。そこは少し、モヤモヤしていました。

 

というのも私、大学時代に飲食店のアルバイトをしていたのですが、お客さんと直接お話をしたり、料理を出したりするのがすごく楽しかったんです!」

 

“お客さんとリアルに関わりながら、自分の表現もできる”――この2つを両立できる仕事はないかと考えた結果、奥村さんがたどり着いたのが、オリジナリティあふれる飲食店を作ることでした。

 

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「当時、映像とともに料理を楽しんでもらう“フード×エンターテインメント”のお店を作ったらどうだろう?って考えていたんです。お客さんに2時間くらいの映像作品を観てもらって、それに登場したメニューを実際に提供する。そんな構想を夫に話したところ、以前から夫も独立を考えていたので、一緒に会社を立ち上げることになりました。」

そこで気になるのが、なぜカレー店を選んだのかということ。

 

聞くと、「中高生の頃からカレーが大好きで、食べ歩きをしていたのが理由」だそう! 18歳の時には、その熱い想いを綴る食べ歩きブログも開設していました。

 

ただ、「どうしてもカレー屋がやりたかった!」というよりも、「食とエンタメを掛け合わせて、面白いスタイルで飲食店をやりたい」という思いの方が大きかったそうです。

 

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# 移動販売がくれた街との出会い

 

2011年にKOSUGI CURRYがオープンする2年ほど前から、川崎市内に暮らしている奥村さん。会社立ち上げ時、旦那さんがこの地域で音楽教室のフランチャイズ契約を結んでいたことから、必然的に移り住むことになったと言います。

 

そう、実はこのKOSUGI CURRY、最初は音楽教室とカレー屋の二毛作で運営していたのです!

 

音楽教室を開校していて同時にカレーの店内営業ができない時は、三輪車で人力移動販売を行っていたそうで、そこで奥村さんは“街の人とのつながり”を実感したと語ります。

 

「会社員時代は、自分の住んでいる街にあまり興味がありませんでした。でも、三輪車でこの辺をまわっているうちに、街の人たちに声をかけてもらうことが増えたり、商店街のお店同士でつながったりして、街の人の“面白さ”に気が付いたんです!」

 

当時の武蔵小杉は、駅前にいくつかのタワーマンションが完成するなどまさに過渡期でした。昔から住んでいる人と新しく入ってきた人が、どうやって融合していくのか……。

 

街の課題について、奥村さんも肌で感じていたと言います。

「当時は商店街や町内会がお祭りなどを開催していましたが、タワーマンションに多くの人が入ってきて、町内会に入りきらないという課題がありました。そこで、一般社団法人武蔵小杉エリアマネジメントさんが自治会の役割を担うようになったのですが、私も街づくりに興味をもったことから、その活動をお手伝いするようになっていきました。」

 

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#国民食であるカレーで、この街を活性化させる

 

一般社団法人武蔵小杉エリアマネジメントは、武蔵小杉の住民によるお祭り「コスギフェスタ」の主催団体。奥村さんはその情熱的な性格からか、出店者として参加した翌年からは運営にも関わるようになり、エリアマネジメントの理事を4年間も務めました。

 

また、「もっと多くの方にKOSUGI CURRYを知ってもらうには」と考えた結果、2013年にはコスギフェスタに出店者として参加。そんな中で、奥村さんは一つのアイデアを思いつきます。「いつか、この街でカレーフェスティバルを開催してみたい!」

 

そして、その提案は多くの協力者を得て、2015年に「コスギカレーフェス(以下、カレーフェス)」として実現しました。

 

「カレーは国民食で、嫌いな人が少なく、誰もが楽しめる料理の一つ。コスギフェスタは、昔からこの街に住んでいる人と新しく住み始めた人がどう融合するかという、街の課題から始まったイベントでもありましたが、『年代や世代を問わずに愛されるカレーをみんなで食べることで、街の人たちの壁を壊していけるのではないか』と考えたんです。」

 

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カレーは無限の可能性があると言わんばかりに、キラキラと瞳を輝かせる奥村さん。「まさに、全国民の共通言語のような……?」と問いかけると、奥村さんは深く頷きました。

 

「初めてカレーフェスを開催した時、昔から住んでいる人と新しく来た人たちが、一緒にカレーを食べて楽しそうにしているのを見て、本当にやってよかったと強く思いました。その光景を見た時、この活動は続けなければならないと強く感じたんです。」

 

カレーフェスの運営は、当時から現在まで奥村さんが代表として、出店募集や管理、ステージ出演者とのやりとりをはじめ、パンフレットのデザインまで……すべてを担っています。当時コスギフェスタを一緒に運営した方々や、近隣商店街の方々、そして奥村さんが心から信頼しているデザイナーさんなどが実行委員会のメンバーとなり、皆さんの協力で毎年作り上げているそうです。今年で10周年を迎え、JR南武線沿いでは武蔵新城や平間、東急東急線では日吉までエリアを拡大するなど、その規模は年々拡大しています。

 

「出店していただくお店の選定は、インターネットで募集をかけるほか、自分で実際に行ったお店に直接お声がけしています。近辺に新しいカレー屋さんができたら必ず食べに行っていますし、神奈川県外のお店にもよく食べにいくので、年間250店舗ほど訪れています(笑)」と、さらりと語る奥村さん。その裏には、想像を絶する情熱と“カレー愛”があることは言うまでもありません。

 

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※「首都圏横断カレーマラソン」というイベントのスタンプラリーは、すでにスタンプでいっぱい!(写真:奥村さん私物)こちらのイベントも、奥村さんはプロジェクトメンバーとして携わっているとのことで驚きです。

 

#“カレーの輪”は、川崎市以外にも広がる

 

奥村さんの活動は、川崎市内にとどまりません。

 

数年前から、横須賀や、神田や下北沢、柏、渋谷など首都圏でカレーの街づくり活動をしている人たちと「首都圏カレーの街連携プロジェクト」を組み、それぞれの街の課題や悩みを共有しているといいます。

 

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まさにカレーを共通言語にして、“カレーの輪”を広げている奥村さん。改めてカレーの魅力を聞くと、“多様性”について説明してくれました。

 

「インドカレーやスリランカカレー、欧風カレー、それにお蕎麦屋さんのカレーうどんなど……日本で食べられるカレーだけでも、さまざまな種類があります。

 

国民食としてみんなの思い出に根付く“共通言語”でもあることに加えて、その多様性も惹かれたポイントの一つですね。」

 

#「対話式カレー」に込めた想い

 

KOSUGI CURRYは今年に14周年を迎え、15年目に入りました。グルメサイト『食べログ』の百名店(カレー EAST 百名店 2024 選出店)にも選ばれ、奥村さんが作る唯一無二のカレーを目当てに、遠方から訪れる人も多いそうです。

 

ただ、オープン当初から変わらずに抱いているのは、「人を喜ばせたい」という思い。

 

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「このお店は『対話式カレー』をコンセプトにしており、お客さんやスタッフ、地域の人たちと対話をしながら作っています。お店を繁盛させてお金を稼ぐよりも、地域のお店と一緒にイベントをしたり、みんなで何かをつくり上げていきたい。私自身、その方が楽しいと思っています。学生時代、演劇をやっていたことも関係しているかもしれませんね。

 

地域のみんな、そしてお客さんたちと一つの作品をつくり上げて、思い出にする、という感覚が強いです。

 

そういう意味では、この中原区は川崎市の中でも世帯が一番若くて、活気がありますよね。何かやりたいことを発信すると、協力者が現れるのもこの街の魅力だと思います。」

 

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奥村さんの言葉には、地域への貢献と、人とのつながりを何よりも大切にする温かい思いが溢れていました。

 

奥村さんの尽きることない情熱は、武蔵小杉の街に隠された魅力を引き出し、一杯のカレーを通じて人々の心をつないでいきます。

 

これからも、奥村さんが愛情を込めて広げるカレーの温かな「輪」が、この街をそっと包み込んでくれることでしょう。

 

取材・執筆/柴田捺美

 

■「コスギカレーフェス2025」開催中!

 

・スタンプラリー:2025年8月16日(土)~9月14日(日)

 

10周年のスタンプラリーはエリアと日数が大幅拡大して超パワーアップ!!
従来の「武蔵小杉」「新丸子」「元住吉」「向河原」「武蔵中原」エリアに「武蔵新城」「平間」「日吉」エリアが加わりにぎやかに。

 

グランツリーや東急スクエアの店舗も参戦でフェス史上最高に盛り上がります。期間中にカレーメニューを食べて(購入して)スタンプを集めましょう。

 

・EXPO:日時:2025年9月13日(土)・14日(日) 10:00~18:00 ※予備日:9月15日(月・祝)
 会場:等々力緑地 正面広場

 

10周年のエキスポは史上最多の出店数!地元の人気店のみならず、首都圏各地から名店が集まります。ハズレなしの抽選会や楽しい企画テントも!

 

武蔵小杉カレーフェスティバルの詳細はこちら

武蔵小杉カレーフェスティバル インスタグラム

 

 

 

 

 

 

 

 

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