この街大スキ武蔵小杉

コスギーズ

武蔵小杉で活躍する人を紹介します!

2025.08.28

佐野デザイン 佐野正さん

コスギーズ!とは…

利便性や新しさだけでなく、豊かな自然、古きよき文化・街並みもある武蔵小杉は「変わりゆく楽しさと、変わらない温かさ」が共存する素晴らしい街です。そんな武蔵小杉の街の魅力をお届けするべく、この企画では街づくりに携わり、活躍している人をご紹介していきます!

 

世の中に、こんなものがあるといいな、を実現する
プロダクトデザイナー・佐野正(まさし)さんが作るポップでサステナブルなデザイン雑貨の数々

 

画像

 

コスギーズ!読者のみなさま、こんにちは!

 

普段、ご自分の身の回りにあるもので、もっとこうだったらいいなあ、こんなものが欲しいなあ、というものはありますか?

 

今回は、そういう生活の中での「あったらいいな」をデザインの力で叶えていく、素敵なプロダクトデザイナー・佐野正さんをご紹介します。

 

先月、東急スクエア近くのとある会議室で、初めて佐野さんにお会いしました。

 

「何ですか? この可愛いの!」

「あ、それ緩衝材なんですよ。うちがエコデザインを始めたきっかけになったものです。

 

画像

 

「緩衝材といえばプチプチとかね、大体皆さん、すぐに捨ててしまいますが、これは使ってもすぐにゴミにならないものを、という観点で作りました。当時話題になりつつあったエコ・サステナブルを楽しくデザインしたいなと考えました。」

 

この可愛さに、のっけから、心を掴まれてしまいました。

 

こちらは、クッションサンという商品で、佐野さんのご説明のとおり、ギフトなどの商品が中で動いて壊れてしまわないようにする、緩衝材なのです。

 

画像

 

「一袋に60人が入ってるんですよ。」

 

「60人!!!!」

 

こんな可愛い人たちが入ったギフトをいただいたら、心が一気に上がりますね。

 

「でも、今や脱プラの波を受けて、もう作らないんですが…」

 

「ええ? こんなに可愛いのにー!!」

 

デザイン業界も、目まぐるしく動く時代の潮流に合わせて対応していくことが必要なんですね。 

こんな感じで、和気藹々とお聞かせいただいた佐野さんのお話、是非皆さまにもお伝えしたいと思います。

 

スマートライフスタイル大賞の最優秀賞に輝く
 

佐野正さんは、東京都目黒区のご出身。

 

武蔵中原に佐野デザイン事務所というデザイン事務所を立ち上げ、身の回りのさまざまなもののデザインを手がけています。

 

川崎市による、CO2削減を目的に、環境配慮行動を実践する生活や事業活動の中での取り組みを募集し、優れた取り組みを表彰する、スマートライフスタイル大賞で、昨年2024年に最優秀賞に輝きました。

 

画像

 

- 小さい頃から、ものづくりがお好きだったんですか?

 

「そうですね、特にデザイナーという認識はなかったんですけど。機械でもいいし、木工でもいいし、絵でもいいし、将来何か作れるといいなあとは思っていました。」

 

昭和の一般的なご家庭で育ったそうです。学校では、正、という名前のおかげで他の子より投票の正の字が多くて、学級委員になったこともあるとか。

 

「高校くらいで、美術や音楽が選べる『選択科目』がありますね。その頃にやっぱり自分はこの道に進みたいな、と認識して進路はデザインの専門学校を選びました。」

 

企業での社会勉強も経て、登戸に事務所を

 

専門学校を出たのち、恩師の事務所で修行をした後、企業での仕事も経験しました。

 

「生活日用品や携帯電話のデザインなどしましたが、社会勉強という感じでしたね。その後、少し違う業界でもう少し勉強をと思っていたら、バブルが弾けてあまり就職先も選べなかったので、幾つかの先輩の事務所で手伝いなどをした後に、独立しました。」

 

画像

 

- 登戸に事務所を開かれたんですね。何故登戸を選ばれたのでしょうか?

 

「結婚を機に、川崎市多摩区の登戸に住み始めました。川崎は東京と横浜の間で便利だし川の近くがいいなと。その後、武蔵中原に引っ越しました。」

 

ものづくりブランドに認定されて

 

「事務所を立ち上げてからしばらくは、東京での仕事ばっかりだったんですが、6、7年した頃でしょうか、さっきの『クッションサン』が川崎市のものづくりブランドに認定されたんですね。その後、フロンターレさんからワークショップをお声がけいただき、川崎市からもお仕事をいただくようになりました。」

 

画像

 

もともとサッカーは自分がプレイする方が好きだったという佐野さんですが、フロンターレのサポーターとして応援するようになり、今では年間シートもお持ちだそうです。

 

「今年のGWに、フロンターレのイベントで使う、青と黒の巨大なしゃもじを作るという仕事をしました。始球式をする石塚英彦さんにお渡しする1.6メートルくらいのしゃもじだったんですが、そんなのどこに依頼すれば作ってもらえるんだろう、ということでうちにお話がきました。」

 

画像

 

ーすごいですね、こういうものが欲しい、と相談すれば、色々なものが作れちゃうんですね

 

「そうですね、作ろうと考えます。しゃもじのように、一回きりのものもあれば、長くプランニングして続けていくようなものもあるので、理想はやはりゆっくりと考えて、長く使い続けていけるお仕事をしたいですね。」

 

ーまさしく、サステナブルな仕事ですね

 

「そうそう(笑)」

 

現場の声も取り入れながら

 

「こちらは、さっきの『クッションサン』の進化版、脱プラを目指した緩衝材として作った

『LeavesTea』です。

 

画像

 

画像

 

カラフルな紙を引っ張り出して、くしゃくしゃと佐野さんが丸めていくと、あっという間にきれいな色のリーフボールができあがりました。

 

画像

 

画像

 

七夕の飾りのようですね。

 

「この商品は、普通の紙だけじゃなくて、バナナペーパーだったり、なめし革だったりいろいろなサステナブル素材で作れます。ちょっとシックな色の再生紙で作ったものは、某化粧品メーカーのブランドとも取引があるんですが、それが採用になったきっかけは、現場の声だったんですね。」

 

ーどんな声だったんでしょう

 

「これ、ライバルはシュレッダーの紙なんですけど… 実際にパッケージ作業する時間がこちらの方が早かった、効率が良かった、と言われました。嬉しかったのは、緩衝材を詰めるパートの女性たちが『こちらの方が作業していて気分が上がる、楽しく仕事できる』って言ってくれたんです。」

 

ーそれは嬉しいですね!

 

「やっぱりそういう、使う人たちの声が、次のアイデアをもたらす原動力になります。次は葉っぱじゃなくて花のデザインを、と言われていますが、それが難しくて。ずっと考えて試作しているんですが…」

 

そう言ってしばし考える表情になった佐野さん。私もしばし、一瞬で花をつくる方法を考えましたが、もちろんそう簡単には浮かびませんでした。

 

川崎市の職人たちと一緒に

 

ー川崎市の仕事で、これは印象に残っている、というようなものはありますか?

 

「やっぱり、一番新しいこれですかね。」

 

と、佐野さんが手に取ったのは、一瞬「ジャンベ(アフリカの太鼓)かな?」と思うような形の、丸みをおびた木とアルミの椅子。

 

ジャンベなら胴体の部分は木ですが、これはアルミでできていて、流線型がとても美しいなあと思っていました。

 

画像

 

画像

 

「こちらは、高津区にある『相和シボリ工業』さんと「家具マイスターの晝川捷太朗」さんと協働製作したアイテムです。金属ヘラしぼりという技術を持つ大浪親子と、80歳を超える晝川さんがご自身の技を発揮していただき、更に普通ではできない手法を超える挑戦をしてくれました」

 

ーどの部分がそうなんですか?

 

「やはりこの側面、ラインの部分ですね。周りの景色が綺麗に映り込むんです!置く場所によって変化します。世の中にすでにあるものを作るのではなく、ラインのクオリティを上げてもらうようにお願いしたんですが、こちらの期待を上回るクオリティの仕事をしてくださいました。現在、川崎市本庁舎ロビーに展示されて多くの方に座って頂いています。」

 

ロゴデザインや、ブランディングも行う

 

「こちらの作品も相和シボリさんと作ったものですが、花瓶の方はRe-shibo(リ・シボ)といって、しぼりを逆から読んだ名前にしています。工場の端材でリサイクルができるアルミをアップサイクルしていて、再生するという意味の『Re』を頭につけています。台座も、再生コルクでできているんですよ。」

 

画像画像

 

ー ネーミングなどはブランディングの一環かと思いますが、プロダクトデザイナーというのは、ブランディングも行うんですか?

 

「そうですね。昔はデザイン業の中で役割分担していましたが、今はそこまでやることが多いです。ものの形なんかよりも、その裏にあるストーリーが重視される時代でもあるので、このコンセプトはどうやって生まれたか、などということも含めて提示していきます。
コンセプト、ブランドストーリー、プロダクトが認められて昨年の川崎緑化コンテストのトロフィーや公式アイテムとなりました。」

 

ー ロゴもおしゃれですけど、そういうのもご自分で?

 

「はい、ロゴも作ります。」

 

ー こういう、ロゴや新しい作品のアイディアはどうやって湧いてくるんですか?

「そうですね。まあ、降ってくるというか… 知恵をしぼりますね。」

 

ー しぼり、ですね。

 

「はい(笑)。今、女子美術大学で講座も持っているんですが、そちらでも『プロダクトデザイン』を教えています。」

 

ー どんなものを作りたい人が講座を受けるんですか?

 

「雑貨・文具が多いですね。先週から始まった講座では、バターナイフを作ろう、という内容でやっています。猫とか、日本刀とかみんな色々な形を考えてくれるんですが、それだけではなく、名前やブランディングもトータルで考えないと、完成度が上がらないんです。」

 

画像画像

 

「これも、Re-shiboの商品なんですが‥」

 

ー わあ、なんですかこれ、可愛い。耳が磁石でつけたりとったりできるんですね!

 

「ペットのフードボウルです。知人の猫に何度も使ってもらって、試作をしました。高さや角度を変えられて、自然な姿勢で食べることができます。猫なのに猫背で食べると吐き戻しが多くなるんですよね。こっちの垂れた耳をつけると…」

 

画像

 

ー ワンちゃん専用になるんですね。

 

佐野さんの遊び心は、どこまでも広がっていきます。こういうアイディアは、いったいどういうところから湧いてくるのでしょうか。

 

画像

 

「普段からネタ帳みたいなのを書いて、常に色々な新しいものが生み出せないか考えている、という感じです。」

 

ー じゃあ、ご自分で作りたいものを作って、社会に問いかけていくんですね

 

「まあ、アイディアは思いがけない時に繋がっているというか。その時は形にならなくてもいいんです。好きなアウトドアやランニング、旅行に出かけた時に、こんなものがあったらいいなあ、と思ったらそれをメモに書いて貼ってストックしておく。何年か後にそれが商品になることもあります。」

 

インスピレーションの源は、使ってくれる人の笑顔

 

ー 佐野さんにとって、インスピレーションの源は何でしょうか?

 

「実際に使ってくれる人の顔を想像することですね。ギフトをもらった人、使う人の笑顔をイメージします。実用化するまでにはコストも時間もかかるので、まずは展示会などに出して手応えがあると、一気にイメージが広がりますね。」

 

画像

 

ー 自分が欲しいかどうかということも大事ですよね

「あ、それはとても大事です。」

 

川崎のまんなかにある中原区がもっと面白くなって欲しい

 

ーこれからの川崎市や、中原区に期待していることや、地元在住のデザイナーとしてやってみたいことはありますか?

 

「9月に、フロンターレの試合前のイベントで久しぶりにワークショップをやるんですが、そういうのをもっと、東急さんのような、街の商業施設でも行いたいですね。やっぱり、中原区は位置的には川崎の真ん中だから、ここで川崎の北と南がしっかり繋がって盛り上がったらいいなと思っています。」

 

画像

 

いいですね!

ワークショップはお互いの顔が見えるので、さらに、佐野さんのインスピレーションも湧いてくるに違いありません。

 

川崎商工会の相談員として、中小企業へのデザインのアドバイスなども積極的に行う佐野さん。中原区は、町工場の多い地域でもあり、昔から手仕事が盛んです。

 

佐野さんのご活躍で、この中原区から「可愛い」「便利」というだけではなく、サステナブルで、使う人の心をくすぐり、笑顔にするような素敵な製品が、今後も多く生み出されていくのが、とても楽しみです!

 

 

 

 

ライター プロフィール

Ash

俳優・琵琶弾き。「ストリート・ストーリーテラー」として、街で会った人の物語を聴き、歌や文章に紡いでいくアート活動をしている。旅とおいしいお酒がインスピレーションの源。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PAGE TOP