富士通株式会社『Green Carb0n Club』山口実央さん
コスギーズ!とは…
利便性や新しさだけでなく、豊かな自然、古きよき文化・街並みもある武蔵小杉は「変わりゆく楽しさと、変わらない温かさ」が共存する素晴らしい街です。そんな武蔵小杉の街の魅力をお届けするべく、この企画では街づくりに携わり、活躍している人をご紹介していきます!
楽しみながら地球に優しくなれるアプリを、これからも多くの人に届けたい。
“2050年カーボンニュートラル”実現に向けて、脱炭素化に注力している川崎市。溝の口エリアが第1回脱炭素先行地域に選定され、地元企業とともにさまざまな取り組みを行っています。
その一例が、富士通株式会社(以下、富士通)との取り組み。
持続的なまちづくりを目指して、川崎市と包括協定を締結している富士通は、エコ活動によってお得な体験を獲得できる『Green CarbOn club』というアプリを22年10月にリリースし、多くのユーザー数を獲得しています。
さらに、昨年12月にはアプリ内のミニゲーム『Green Carb0n Farm』も公開。何やら、川崎市そっくりな街をスマホ内で育てることができるのだとか……?
一体どのようなものなのか、同アプリ・ゲームの担当者で富士通社員の山口さんに、この取り組みへの思いとともに伺いました。
エコ行動でお得をゲット?「みんながつながる環境アプリ」とは
ーー山口さんはアプリ『Green Carb0n Club』の運営メンバーだと伺いました。どんなことができるアプリなのでしょうか?
ざっくり説明すると、環境に良い行動(「エコアクション」」)をすることでポイントが貯まり、エコなサービスや商品などのクーポンに交換することができるアプリです。
エコアクションは、大きく分けて2種類。
「エコ診断」というアンケートに答えたり、川崎環境ポータルサイトの記事を読んだりするなどアプリ内で完結するものと、実際にどこかに出掛けたり川崎市に関連したイベントに参加したりするものがあります。
そうやって日々コツコツと貯めていただいたポイントは、エコカイロやタオルなどのオリジナルグッズや、環境に良いサービスで使えるクーポンなど、お好きなものと交換することができるのです。
ーー環境に良い行動をすることで、お得な体験ができるなんてすばらしいアプリですね。他にはどんなことができるのですか?
「GreenNOTE」というアプリ内の掲示板のような機能を使えば、他のユーザーと情報交換を行ったり簡単なコミュニケーションを取ることもできます。
例えば、「今日はゴミ拾いイベントに参加してきました」や「環境ポータルサイト内のこの記事が参考になった」など、日々の環境行動や気付きをシェアしていらっしゃる方が多いですね。
そうやってユーザー同士が互いに意識を高め、環境に配慮した行動を増やすことを目的とした「みんながつながる環境アプリ」なのです。
ーー山口さんは、具体的にどんな業務を担当されているのですか?
私は企画職として、アプリ内のデザイン作成やディレクション業務を主に行っています。
どんなUIにしたらユーザーのみなさんがもっと快適に使えるのか……ボタンの配置や表示位置などを細かく調整したり、アプリ内で定期的に行うイベントのコンセプトを考えたりしています。また、ポイントで交換できる景品を企画したりすることもあります。
加えて、公式SNSの運営や川崎市が主催するイベントへの参加など、社外広報としての仕事も担当していますよ。
ーーアプリに限らず、幅広い業務を担当されているのですね。
はい、ありがたいことに「やりたい!」と手を挙げたことは比較的自由にさせてもらえています。
アプリ内で完結するイベントだけに限らず、昨年末には富士通フロンティアーズのファンコミュニティと連動したイベントの企画も担当しました。
エコアクションを一定数クリアした方を対象に、試合前のアップ見学やフィールドツアーなどの特別な体験が当たるキャンペーンを行ったんです。
より多くの方にアプリを知っていただけたのはもちろんのこと、富士通フロンティアーズのファン同士の交流の場も提供できたのが嬉しかったですね。
また、さらにエコアクションを楽しんでいただけるようにと、23年12月には環境配慮型まちづくりゲーム『Green CarbOn Farm』もリリースしました。
ーー『Green Carb0n Farm』は、どんなゲームなのでしょう?
いわゆる「まちづくりゲーム」なのですが、何といっても川崎市そっくりの街をつくることができるのが最大の特徴です。
畑で作物を育てたり動物たちの依頼に応えたりすることでレベルアップし、川崎市内にある実際の施設やビルなどをモチーフにした背景やアイテムが手に入ります。例えば、川崎駅や多摩区にある生田緑地などがありますよ。
レベルアップの方法としては、他にも川崎市内にある対象スポットでエコアクションを行うことでも可能なので、お出掛けを楽しむついでにゲームも楽しむことができます
また、オリジナルキャラクターの「Green Carb0n Clubくま(ぐりーんかーぼんくま)」をモチーフにしたアイテムもあります。
ーーゲーム画面下にある「チェックイン」とは何ですか?
「チェックイン」ボタンを押してから川崎市内の「エコアクションスポット」にあるQRコードを読み込むことで、ゲーム内で使用できる「Pチケット」やアイテムと交換することができるのです。
高津区役所や川崎市内にある一部のスーパー・ドラッグストアに設置されたリサイクル回収BOXなど、現時点(2024年2月)で89箇所まで増やすことができました。
アプリの方もたくさんの方に楽しんでいただいてますが、やっぱりゲームの方がやり込み要素が多いようで、「楽しい」と言っていただくことが多いですね。
『Green Carb0n Farm』は昨年の12月に公開されたばかりの新しいゲームなのですが、すでにレベル100に達した方が50人ぐらいいらっしゃって……。私以上にやり込んでいる方がものすごく多くて、びっくりしています!
生まれも育ちも違うけど、川崎での仕事はやりがいがある
ーー山口さんはいつ頃から『Green Carb0n Club』の取り組みに携わっているのですか?
2022年11月末からです。この取り組み自体は同年の10月末からなので、比較的初めの段階から携わらせてもらっていますね。
2020年に富士通に新卒入社してから2年半は、今の業務とはまったく関係のない営業の仕事をしていたんです。
当時は食品卸業者さんを主に担当していたのですが、とあるお客さまが導入してくださったサービスを元に、新しい商品を立ち上げようという話が上がって。
その企画に携わったことで「もっと企画の仕事をしてみたいな」と思うようになって、今の部署に異動しました。
ーー富士通に入社したのは、川崎が地元だったからですか?
いえ! 地元は関西の方で、今は品川区に住んでいます。なので、実は入社するまで川崎とはまったく縁もゆかりも無かったんです(笑)
それでも富士通で働きたいと思ったのは、幅広い業界での仕事を経験できるから。
就職活動でいろんな企業の説明会に参加したのですが「どの仕事も楽しそう!」と思って。だから、テクノロジーの領域でさまざまな業界と携わることができる富士通がとても魅力的だったんです。
あとは、働く人の雰囲気が何となく心地よかったのもありますね。
採用面接の時に足を怪我してしまったのですが、ヒールが高い靴を履くことが難しいことを正直に伝えると「大丈夫?無理しないで大丈夫だからね」と心配してくれて。てっきり面接のマナーを遵守していないことを怒られるかと思っていたので、ほっとしたと同時に、とっても良い会社だなと思ったんです。
ーーすてきなエピソードですね。実際に川崎市での仕事を経験されて、川崎市民の方々についてはどんな印象を受けましたか?
人柄が温かいのもありますが、環境への意識が高いことに驚きました。
広報活動の一環として川崎市内の小中学校に伺う機会があるのですが、特に学生さんの環境への取り組みは私も学ばせていただくことが非常に多いです。
『かわさきSDGs大賞』で大賞を受賞された川崎市立平間小学校では、授業の中に環境問題に関するテーマを取り入れたり、地域を巻き込んだ活動を長年実践されていて。見学させていただいた際は、ここまで教育が進んでいるのかと感心しました。
あとは、何といっても「川崎愛」が強い方が多いなと思いますね。
ーー「川崎愛」ですか。
川崎市創立100周年記念など自治体が主催するイベントに出展させていただくこともあるのですが、毎回欠かさずに参加してくださる方がいらっしゃったり、『Green Carb0n Club』アプリの機能について「もっとこうしたら使いやすくなるんじゃない?」と助言してくださったりする方がいるんです。
川崎が大好きだからこそ「もっと良い街にしたい」「環境を良くしたい」と思っていらっしゃる方が多いのかもしれません。
そんな熱量を持って、アプリを使ってくださったりエコ活動に積極的に取り組んでくださっている方々の姿を見ると「この仕事をやっていてよかったな」と思います。
3月に武蔵小杉東急スクエア館内で開催された、「むさしこすぎSDGsフェア」の様子
脱炭素化への“最初の一歩”として、アプリを使ってほしい
ーー『Green Carb0n Club』のユーザーには、もともと環境への意識が高い方が多いのですね。
もちろん、ずっと意識高く取り組んできた方も多くいらっしゃいます。
ですが私たちとしては、「環境に良い行いをしたいけれど、何から始めればいいのか分からない」という方にも使っていただきたいと思っています。
自分が普段どれだけの炭素を排出しているのか、そもそも何をすれば炭素排出量が抑えられるのか……。「まずは知識を身に着けるところから始めたい」という方も、アプリ内で情報収集することができるので、環境問題への取り組みのファーストステップとしてぜひ活用していただきたいですね。
より多くの方々に私たちの取り組みについて、そして『Green Carb0n Club』について知っていただけるよう、最近では広報活動やSNSでの情報発信にも注力しています。
https://www.instagram.com/p/C3cVtG9vRxt/?img_index=1
(※山口さんが運営する公式Instagramでは「地球に優しくなりたいのになりきれないくまの日常」として、オリジナルキャラクターのお話を更新している)
アプリがリリースされてから1年半、これまで本当にたくさんの方に使用していただいて嬉しく思っています。ですがその一方で、まだまだやるべきことがたくさんあると感じていて。
まずはアプリを認知していただくためにSNSでの発信など広報活動に注力していますが、すでに使って下さっているユーザーさんにもっと長く愛用していただくための工夫も必要だなと思っています。
ーー山口さん自身は、これからやってみたいことはありますか?
エコアクションをもっと“可視化”するための仕組みを、アプリ内で実装できたらいいなと思いますね。
例えば、ペットボトルのラベルを剥がすとアプリが認識して、分別したことでCO2排出量を何グラム抑えることができたのかが分かる……みたいな機能があると、ユーザーさんのモチベーションも上がると思うんです。
ゲーム『Green Carb0n Farm』の方もそうですが、子供から大人まで、そして環境について意識高く取り組んでいる方もそうでない方も、みんなが楽しみながらエコアクションを実践できたら素晴らしいですよね。
その実現に向けて、これからも『Green Carb0n Club』での取り組みを精一杯行っていきたいです。
富士通株式会社
Japanリージョン ソリューショントランスフォーメーション本部
クロスインダストリービジネス推進室
山口実央(やまぐち みお)
2020年富士通株式会社に新卒入社し、食品卸業者を顧客とした営業を2年半担当。その後現在の部署に異動し、川崎市と連携した脱炭素化社会の実現に向けた取り組みであるアプリ『Green Carb0n Club』および同アプリ内のゲーム『Green Carb0n Farm』の企画や運営に携わる。
柴田捺美
ライター/編集者
文房具メーカーでの海外広報、人材系企業の女性向けオウンドメディアで編集に携わった後、フリーのライター・編集者として独立。エンタメ系のメディアでの編集及び執筆を中心に、時折イラストレーター&占いライターとしても活動している。川崎市中原区在住。